アンシャントロマン



メーカー:日本システム
ジャンル:RPG
ハード:PS1



ゲームショップへ行く度に気になっていたソフト『アンシャントロマン(ancient roman)』。

なぜ気になったか、高校生以上の方なら気付いてくれるでしょうか。

ancientの発音はエインシャントまたはエインシェント

高校時代の先生の前でアンシャントと読もうものなら成績が1つ下がるというもの。

製作者の中でこの間違いに気付いた人はいないのでしょうか?

タイトルを間違えるなんて普通だったらかなりの恥ずかしいことなのですが、

良かったね、知名度が低くて。(婉曲)




いきなりけなしておいてなんですが、タイトルで中身の真価を決めてはいけません。

このゲームの売り文句は『ムービーライクRPG』らしいです(ネット調べ)。

RPGの大御所スクウェアに喧嘩を売る挑戦するような文句ですが、それだけ映像がいいということでしょう。

と、いうわけでさっそくプレイしてみます。素晴らしい映像をレッツルッキング!(誤用)







・・・何だこれは?







あの日本システムさん・・・このストーリーの舞台は重力が激しいのか、水中なのか良く分かりませんが、

基本的にどんなシーンでもスローモーションを見ているみたいです。処理落ちが酷すぎ。

女王の寝室にモンスターが押し入り、女王を突き飛ばして赤子を奪うというシーンがありますが、

女王様の動きがえらく不自然なんですが、この女王様はクスリでもやってたんですか?

あとこのモンスターの歩き方が、見事なまでガニ股だったのは笑うところですか?。

それに、突き飛ばされて瀕死の女王様、笑っているように見えるのはマゾだからですか?

女王様って普通はSの方じゃ?(そういう問題じゃない)

正直、『ムービーライク』と言うよりは『マリオネットライク』と言ったほうが適当です。



(まだこのゲームをやったことが無く、これからやってみようと思う人に言っておきます。

最初のムービーはスタートボタンを押してスキップすることをお勧めします。

なぜならば、

恐怖で顔のひきつったオッサンが粉々にはじけ飛ぶシーンや、

隕石の落下で原爆投下後の広島のような廃墟をうつすシーンがありますから。

それに『ガチンコ!!』並のネタバレテロップもあるので見ないほうがいいですよ、ホントに。)





んで17年後のストーリーが始まります。

まず主人公のカイ君(その他大勢は)はモンスターによって鉱山で強制労働させられているのですが、

ある時みんなでクーデターを起こす事になります。

カイ君は力持ちの大男バークと組んで親玉を倒しに行くことになり、そこにどもり少女ミシリア登場。

「わ、わたしを仲間に入れてください・・・」

と、新しく友達に入れてもらうようなテンションで懇願。

お前のような女子供は部屋でゆっくりしてなと言ってアメちゃんを渡すのがベストアンサーだと思いますが、

最初は仲間に入れるのを渋ったカイ君も、けっきょくOKすることに。

3人で(のんきにレベルを上げつつ)ボスのところに向かった結果。

通常攻撃2発で倒れるボス。

今まで経験したゲームの中で一番弱いです。(※2001年現在の話です)




ボスを倒した後鉱山を脱出。

行く当ての無い彼らはとりあえず北に向かうと廃墟となった町があり、

その町の中にあるつかえそうな一室を利用して夜を明かそうとします。

夜中に突然、「プルプル、僕はいいスライムだよ」ばりに悪くなさそうなモンスターが訪れます。

そのモンスターによると、『人間がモンスターになる病気』が流行っていて、自分もそうなってしまったとのこと。

するとカイ君は「僕たちで解決してあげよう」と進み出ました。

その前に自分たちの状況を何とかするのが先では?

まあ、とにかく『アンシャントロマン』の冒険の目的はこれで決まりました。




夜が開け北に向かって行くとファラという妖精が脈絡も無く仲間になります

で、北にある王城に向かうとカイ君、そこでバークとともに兵士の試験を受けることを決意します。

その時の出来事。





兵士採用テストで他の志願者と戦う事になる



カイ君あっさり負ける



持っていたペンダントを取られる
(ここまでのストーリーにペンダントを持っているという記述は無かった



「こ、このペンダントは・・・カイ君は王子様じゃあ!!







ドラクエ5の短縮バージョンか

ゲームスタートからわずか1時間で奴隷から王子様に。

実にご都合主義満開分かりやすい展開ですね。



王子様に成り上がったカイ君、それでも『人間がモンスターになる病気』の解明のため旅に出ます。





さて北のエルフランドというところに行き着くと、カイ君たちをエルフのミーナ嬢がお出迎え。

エルフと言えば、「ロード・オブ・ザ・リング(指輪物語)」で出てくるものが有名。

皆美しい姿と歌声、そして美しい心をもっているというものです。

さあ、貴方の美しさで我々を癒しておくれ!





ミーナ嬢剣でずばっとファラを惨殺。(いや、一応助かったけど)





彼女は自分のしてしまった一連の不祥事に反省も衝撃も受けてないような声と表情で

ただ「申し訳ない」と。

全然こいつの心は美しくねえ・・・

ファラは養生のためエルフランドに残り、代わりにこの畜生エルフを仲間に。

その後モンスターに襲われた町に行って退治する事になりました。

避難した町の人たちによると、とある女剣士が無謀にも一人で退治に行ったそうです。

急いでボスのところに駆けつけるとその女剣士のサリナがやられる寸前。

仕方ないのでカイ君たちがボスを倒してあげました。こんどは一撃で。

ボスを倒すと女剣士サリナは「自分ひとりで倒せたのに邪魔すんな」といきがります。

彼女の自信過剰の発言にはやれやれです。ところが


装備:何もなし。


端的に言えば裸か、コイツは?

モンスターを色気で誘惑する気だったのか?

ああっ、何も召されず魔王を討伐なさるとはあなたは真の勇者様です。

ただし18禁だけどな。




で、ストーリーはというと、なんかよくわかりませんが『人間がモンスターになる病気』の原因が魔王によるものだと分かります。

しかし魔王がどうして原因なのかは全く説明がありません

なんだか納得しないまま旅を続けます。

海をわたる必要があるのですがメンバーの中に船を操れる人がいないのでバロアというオッサンを雇う事に。

(ホントにただのオッサン)

さて航海することによって移動範囲が広がった一行は、武器の収集にいそしんだり神の力を得たりします。

準備が整ったら、いざ魔王のもとへ!!

いくつかのダンジョンを越えた後3、4部屋しかない魔王の城に到着し、魔王と御対面。

魔王を通常攻撃2回で昇天させます。弱っ・・・

そして、エンディングへ。






魔王を倒した後、カイ君とどもり少女ミシリアは結婚する事になり、

それを仲間たち(傷が完治したファラを含む)に祝福されめでたしめでたし・・・。

って、ちょっとまて。

まず主人公のカイ君とヒロインのミシリアがくっついたのは

まあ予想通りとして見逃してあげてもいいでしょう。(二人とも奴隷から王族への究極の出世)

しかし脳みそまで筋肉のバカ男バークと無表情・畜生エルフミーナがくっついたり、

かわいい妖精ファラが海の男(=バカ)のオッサンバロアについていって世界を旅したりってどういうこと?

田嶋陽子とビートたけしをくっつけるようにナイスフィットです。

それに、『人間がモンスターになる病気』はどうなった?

魔王は倒したけど、その病気が絶えたという話は全然出てきません。

もしかして私の知らない間に、魔王を倒す=世界平和という

ドラクエチックな話にすりかえられたのですか?(伝説の勇者が全裸)

城下の人はまだ病に苦しんでいるぞっ!!(たぶん)

恐らく史上最悪のハッピーエンドでしょう。



補足


1.最悪の戦闘シーン



まず戦闘シーンには3Dモデルを使っていますが、

厚紙で作ったように見えたのは私だけでしょうか?

とりあえず普通に攻撃してみましょう。

カイ君は敵に突っ込んでいきます。そして振りかぶって・・・

何故か画像一瞬停止

ズザザザザっとものすごい轟音を発生。

そして再び一瞬停止

次の瞬間、敵は斜め45度の角度に直線的に吹っ飛んでいきます(ニュートン真っ青)。

直後ズドドドオォォォォンと再び轟音。

さらに画面のロード時間も長いのでやる気ゲージがぐんぐん下がっていきます。

主人公のHPが減ってきたので回復アイテムを使おうとしましたが、

どのアイテムが回復アイテムか分かりません。(フィールドでも戦闘でも)アイテムの説明をしてくれないのです。

しかも戦闘では個数すらわからないと言ういい加減さ。

諦めて魔法を使おうとしたら、今度は説明どころか消費MPすらわかりません。

しょうがないので説明書を見たのですが、魔法の説明がほとんど載ってないのです。

ファミコン時代のゲームじゃあるまいし、不親切にも程がある。



2.クソ声優



戦闘シーン、買い物シーン、ムービーシーンには声優の声が入ります。

しかしこの声優達、社内で適当に人選して間に合わせたのではないかと疑ってしまいます。

特にひどいのはミーナとバロアの声優。

まずミーナさん、ハスキーボイスはなんとなくカッコいいのですが、

その棒読み口調、やめてくれませんか。

ファラをきりつけた時の謝罪の言葉が雪印の会見のように聞こえました。

そしてバロアのオッサン、完全に演技口調

わざとらしすぎ。耳障りになってくるほどのもの。



んで、買い物シーンの事なんですが、プレイヤーが品物を選んでいると、

ランダムで声を掛けてくることがあります。

その時品物を買うと「大事にするね」「へっへ〜ありがとよ」と言うのですが、

買わないと「ケチ」「テメエ〜」などの罵声を浴びせられます。

例えば





ある剣を選ぶ

カイ「これを、買ってくれないか?」

プレイヤー買わないと

カイ「チェッ、ケチ」





これくらいなら良いのですが、一番頭に来るのはファラの場合。

買ってあげなかった場合



ケチ、ケチケチケチ、ケ〜チ!!



ミーナさん、殺っちゃってください。



3.アイテム



アイテムの説明が無いというのは上記のとおりです。

そのことはもう言うまいが・・・

HP回復アイテム・・・コッペパン、アロエ

MP回復アイテム・・・ほしがき、ずつうやく、ぎゅうにゅう

と、発想が小学生レベルのアイテムがあると思いきや、

ルーズソックス、ブルマ、スクール水着など

怪しいアイテムも満載です。(攻撃力や知力が上がる事もある)

これらのアイテムはアクセサリーに分類されるのですが、アクセサリーは3つまで装備可能なので、

「セーラー服」「セーラー服」「セーラー服」という奇妙な重ね着が可能です。

しかもその上にヨロイを着るなんて・・・



4.魔法



魔法の説明がないというのは上記のとおりです。

そのことはもう言うまいが・・・何だこの魔法は!!

通常攻撃よりもダメージ小さすぎて使えません。

しかも全員全ての魔法を扱える上に誰が使っても効力は同じです

すなわち魔法キャラは役立たずです。(さようならミシリア)

ちなみに逆も成り立つんですよね・・・っていうのは、

敵から受ける魔法のダメージはみんな同じ、ということ。

すなわちHPの低い魔法キャラは役立たずです。(グッバイ、ミシリア)

おかしなことに『IQ=知力(=魔力)』『MG=マジックガード(=魔法防御力)』

というパラメーターがあるのに、どういうこってすか?

結局真面目に魔法を使ったのは、ラスボスとの戦いの時に復活の魔法一回だけでした。



5.ボス

このゲームのボス、かなりHPが低く全て1〜3発で叩きのめしました。(ラスボス2発)

しかしこっちもラスボスの魔法で一撃死です。

もう早い者勝ちの状態なのですが、全体魔法を撃ってこないし、一回攻撃なので、

弱い事には変わりありません。



6・音楽



これ絶対適当に作ったなという印象。

どれも面白みの無い曲ばかりなのですが、とくにひどいのがダンジョンの曲。

最初は静かな曲なのですが、途中からピアノが拍を無視してメチャクチャな旋律を奏でてくれます。

子供が単音でメチャクチャに弾いてる音を想像してください。

それを2倍速にするとこの曲に近付きます。


この世のものとは思えない旋律とリズムの曲が続いた後、急にもとの静かな旋律に戻ります。

この曲を聴いていると脳内に異常な成分が分泌され、通常の行動に支障をきたし・・・

早い話が混乱します。



アンシャントロマンはメダパニをとなえた!!

ハフダニはこんらんした。

ハフダニのこうげき!!

ハフダニはつまずいた。

アンシャントロマンにかいしんのいちげき!!



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