(*やや前置き部分を書き直しました) このゲームをレビューする前に一つだけ言いたいことがあります。 ここまでひどいゲームはそうはない。 まあスペクトラルタワーよりはマシだと思いますが(これは神の領域)、 レビューを読んでいけば分かりますが、テストプレイしたのか、シナリオをチェックする人はいたのか、 甚だ疑問であるという、お粗末な作品になってます。 前置きを長くしてもどうしようもないので早速レビューをしてみましょう。 まず、戦闘システムから。 ドラクエ式でもFF式でもなく、いつでも好きな時に攻撃が出来るという画期的システム<フリーターンシグナルバトル>。 攻撃の後は自分の『シグナル』が赤になり時間が経つに連れて<赤→黄→緑>と変化する。 もちろんシグナルが赤のときでも攻撃が出来るが色によって命中率が変化する 赤→50% 黄→80% 緑→100% (ただし、さすがに攻撃直後や戦闘開始直後はわずかに攻撃できない時間がある) 一見面白そうなシステムです。 ところがこのシステム、よほどこちらのレベルが高くない限り必ず敵に先制されます。 その上、敵はシグナルが赤のときに普通に攻撃してきます。 あ、そうそう。説明書では確かに「赤→50%」と書いてありましたが、実際は80%以上命中します。 もしこちらが緑のシグナルになるまで待機していると、その間に敵の攻撃が2,3巡します。 ボス戦なんかでそんなことしてたら、確実に誰かが仏になります。(なんまいだ〜) てなわけで、 結局自分達もシグナルが赤のときに、つまり攻撃できる時に即攻撃するしかないという状況。 エクシング(製作社)さん、これのどこが従来の戦闘システムと違うのか説明してください。 さらに、回復魔法を味方全員にかけるとき、 いちいち味方全員を一人ずつ選択した後『決定』を押さなくてはならないため その間に敵に攻撃されてしまいます。 ボスの時はその間に2,3回攻撃され、けが人が死人にランクアップした事は数知れず。 また、敵の攻撃には状態変化が多く、 最初の先制攻撃の最中にほとんど全員が混乱状態になってたり、 麻痺や金属化で動けない状態になってたりと・・・ どうしてこんなゲームバランスになるんですか? 「ならばレベルを上げてこちらが先制攻撃できるようになればいい」 と思う人もいるかもしれませんが、通常の戦闘で手に入る経験値は非常に少ないです。 特に後半では60戦以上はしないとレベルが上がりません。 (それに対してボスの経験値はべらぼうに多く、後半ではボス1匹倒すとほぼ確実にレベルが上がる) それでも根性でレベルを上げようとしても、魔法のエフェクトが異常に時間がかかり(時間がかかる割にヘボい)、 一回の戦闘に非常に時間がかかります。 それをも根性で乗り切ってレベル上げをした人は後で悲劇が待ってます。 というのもこのゲームではメンバーの入れ替わりが多く、主人公以外全員別のメンバーになる事が何度かあります。 そうなるとレベル上げの苦労が全てパーに。 ・・・いかに戦闘のシステムが悲惨だったかお分かりでしょうか 戦闘以外で気になった点もいくつか。 まず色調が全体的にケバイ。正直言って目に悪いです。 さらに主人公達が竜騎士になると竜を連れて歩く事になるのですが、なぜか歩行困難になります。 具体的に言うと、竜は主人公の後ろをついて歩くのですがその方向に歩こうとすると、 竜が約1秒間障害物のように道をふさいだ後、竜と主人公の位置が入れ替わります 分かりやすく絵に書くと・・・ 1・主人公右に歩く、竜がその後ろをついてくる 竜 主 → → 2・主人公が竜の方向に歩こうとすると、約1秒間竜が障害物になる 竜 主(動けない) → ←× 3・入れ替わる 主 竜 ← → すげーイライラします。 あと失笑モノだったのがメッセージ欄。 名前が3文字までしか表示されません。 例えば主人公の名前『クリフ』みたいに3文字だったら
ときちんと表示されるのですが、4文字以上の人になると
だれやねん、『ソリッ』って。 他にも『アギーレ』が『アギー』になったり、 『ビア・クイン』『シャンパン・クイン』が『Bクイ』『Cクイ』になったり・・・ ウケを狙ってるんですかね、これ? だいたい、ちょっと考えれば
こんな風に名前をきちんと表示できると思うんですが。 ここまでで十分に頭の悪さが露呈したエクシングの製作陣。 これでストーリーが悪かったら救いようがありませんが、ええ 予想通り救いようがありませんでした。 まず主人公(クリフ)達の住んでた養竜場がグレイゼル国によって滅ぼされてしまったため、 生き残った子供5人(10歳♀含む)でグレイゼル国と敵対するプラーマ国の兵士になってグレイゼル国に復讐をしようという、 何とも頭の悪そうなストーリーから始まります。 私なら「キミ達じゃ無理だからおとなしく帰りなさい」と言って彼らに帰りの分の交通費を渡しますが、 どういうわけか力を認められてプラーマ国の竜騎士に抜擢されます。 竜騎士になったあと、『タクティカドラグーン』というチームと共にグレイゼル国に攻め込むことになります。 まず敵国の大砲を壊すというイベントですがこれ、ツッコミどころが満載でした。 その途中で主人公の住んでた養竜場を滅ぼした奴に出会います。 船上でコイツとの戦闘に勝利し、大海に叩き落して仇をとる事に成功。 上陸後、作戦で船を爆破する事になりましたが、爆破しようとした瞬間 なぜか海に落ちたはずの仇が船に乗っています。 まあ、爆破に巻き込まれて船もろとも木っ端微塵になりましたけどね。 その後、崖の頂上にある大砲のところにたどり着きましたが、さっき爆破に巻き込まれたはずの仇が 断崖絶壁を命綱なし(しかも瀕死)で登ってきて魔法を放ち、クリフの仲間の一人が一撃死。 ぽかーん 仲間の死のシーンも呆れて感動できませんでした。 仇のどう考えてもありえない生命力にも疑問ですが そもそもその魔法を最初に戦った時に何故使わなかったのかさっぱり分かりません。 (ちなみにこの仇は魔法を放った後、さすがに力尽きて死にました) 一方上陸後に別行動をしていた『タクティカドラグーン』のチームも命綱無しで断崖絶壁を登っていたのですが、 敵(クリフたちを襲ってきた『仇』とは別)に頂上から叩き落されます。 が、なぜか生きてます。理由はエクシングに聞いてください。 そのあとさらに大砲直撃しても死ななかったり、 その時に海に落ちたはずの竜がなぜか説明も無く陸に引き上げられいたりと もはやご都合主義としか思えない展開。 まあしかし、このイベントはこれから話すイベントの数々に比べればずっとマシなもの。 このミスティックドラグーンは『航時』普通に言えば『タイムスリップ』によって展開するストーリーです。 タイムトラベルをするストーリーで有名なものと言えば『クロノトリガー』があります。 クロノトリガーのストーリーを大まかに説明しますと 主人公の幼なじみがタイムスリップの方法を開発する ↓ 1000年後に、ある怪物によって壊滅させられる事を知る ↓ その怪物が生まれたての時代にワープし怪物を倒して未来を変える と、こんな感じです。 基本的に『過去を変えると未来が変わる』という原則の上で成り立っているわけですが、 クロノトリガーの場合、 ・自分の住んでる時代より過去の世界を大きく変えるマネはしない ・自分が生きている年代の前後にはワープしない(1回だけ例外があるが) ・自分とは全く関係ない未来を救おうとする こういう行動のため、非常に共感できる内容になっています。 しかしミスティックドラグーンは・・・ 例えばオープニング。 25年前、ゾンマー国が東西に分かれて戦争していたのですが、その戦争の当事者ではないプラーマ国が それより過去ににワープしてゾンマー国の国王を殺し、25年前の時間でその国王の存在を消してしまうという、 「それはストーリーとしてOKなのか?」という疑問を抱かずにはいられない展開から始まります。 ちなみにこの時に起こった変化は25年前の国王がきえるだけでしたが、 普通『過去で国王を殺す』なんてことをしたら、それだけの変化で済むはずがないと思います。 そして現在のストーリー。 クリフが始めて航時するのは、『50年モノのワインを取ってこい』という指令の時。 村の倉庫を探しても無かったため、どうしようかと迷っていたところ、 夜、クリフの竜がクリフを村の井戸に突き落とします。 するとあら不思議、50年前の世界にやってきました。 ・・・まあ後は予想通り、これで50年モノのワインが手に入るわけです。 しかし。 ストーリーが進むと、航時をするためには 1.『航時竜』がいること 2.飛びたい年代に関する物を持っていること 3.ピュアウォーターという特殊な水があること この3条件を満たす事が必要なのですが、 あれ、井戸に落ちたとき50年前のものは何も持っていなかったはずなのでは? さらにこの条件はいろいろな場合に無視されます。 このストーリーのヒロインであるエルミスが仲間になったあと、建物が崩壊し始めたとき クリフはエルミスと共にピュアウォーターに突っ込んでしまったのですが、 なぜか20年未来にタイムスリップしていました。 まあ、この時は『時の女神』が2人を特別に航時させたという理由があります。 しかし未来へタイムスリップしたのはいいものの、航時竜がいないから帰れないという大問題が。 (さすがに『時の女神』はそう簡単に現われないみたいなので) そしてふと見ると、クリフの航時竜がなぜか石化してたたずんでいます。 「航時竜は自分を航時させるときに自分自身を石化させるときいたことがある」 といかにも後から付け足したような設定を解説するエルミス。 しかしやっぱり『20年後に関係する物』を何も持たずに航時したという矛盾は晴らせませんが。 ちなみにこの時代では自分達が軍隊をやってたプラーマ国が大国になっていて、 世界中のほかの国々を壊滅させたのを見る事になります。 この時代でのイベントを一通り終えた後、石化した航時竜を元に戻しもとの時代に戻る事になるのですが、 (この間のイベントも別な意味で味のあるイベントが多いのですが、めんどいので割愛) クリフ一人だけが航時に成功し、エルミスと航時竜はこの時代に取り残されてしまいます。 取り残されたエルミスは『ソリッ』こと『ソリッシュ』に捕らえられ、 航時竜は殺されてしまいました。 一方もとの時代に戻ったクリフは、エルミスと航時竜を過去に置いてきてしまい、 エルミスを連れ戻す方法がなくなってしまったと嘆くのですが、なぜかクリフの航時竜がその場にいます。 この謎について、エクシングはこういうことを考えていたのでしょう。 そもそもは クリフとエルミスが航時 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ クリフの航時竜が石化して航時 ↓ ↓ 〜 〜 ↓ ↓ 20年後にクリフたちがたどり着く ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ クリフが過去に帰る という流れなのでしょうが、クリフの帰ってきたタイミングが 『クリフとエルミスが航時』した時と『航時竜が航時』した間にクリフが帰ってきたという設定なのでしょう。 表であらわせば クリフとエルミスが航時 ↓ ↓ ↓←ここでクリフが20年後から帰ってくる(だから航時竜がいる) ↓ ↓ クリフの航時竜が石化して航時 ↓ ↓ 〜 〜 ということです。 しかし、ここでクリフが帰ってきてしまったということは航時竜は未来に行かなくなるので・・・ クリフとエルミスが航時 ↓ ↓ ↓←ここでクリフが20年後から帰ってくる(だから航時竜がいる) × ↓ × ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 〜 航時竜は航時しない 〜 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 20年後にクリフたちがたどり着く ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 航時竜が航時していないのでクリフは過去に帰れない。 つまり 『クリフが帰って来たためにクリフが未来から帰れなくなった』という 典型的なタイムパラドックスが発生。 このあたり、どう言い訳しますかエクシングさん。 この後のイベントで『普通の竜に航時能力を与える』というマグニエが仲間になります。 説明書では 「正しい歴史を守るため、クリフたちの前に現われる。正体は・・・」 と書いてありますが、結局最後まで正体はわかりません。(おい) そんな彼女と共に13年前→さらにそこから3年前と航時していくことになります。 その時代でイベントを終え36年後(元の時代の20年後)、つまりエルミスが捕らえられている時代に、 やはり『その時代に関する物』無しで航時します。 この後エルミスを助け出すのですが、問題は帰る方法。 『水の封印計画』が完全に行われた後で、ピュアウォーターが残っていません。 ところが普通の海水に突っ込んで元の時代に戻るクリフたち。 今までの航時で、条件を満たして航時したのは5割を切っていると思いますが、 とりあえず今までの事でプラーマ国の王(ラスボス)が自分の国以外を滅ぼした後、 歴史を変えられないように航時を発見した科学者を滅ぼそうとしていることがわかりました。 それを止めるために今では大陸が要塞化したプラーマ国に乗り込む事になりますが、 無駄に多いボスを倒し (全クリまでにレベルが50→60になったことでいかにボスが多かったかわかるかと思います) 王のもとにたどりつきます。 王は50年前に航時したためクリフたちもそこに行く事になるのですがクリフ以外の仲間の竜は航時能力を持っていません。 マグニエがいないため航時能力を与えるわけにはいかずどうやって航時するのか、と悩んでいると誰かが 「時の女神の血を引いているエルミスと一緒に冒険してきた竜だから航時できるんじゃないの?」 とあまりに苦しすぎる解釈。それで本当に航時出来てしまうあたり、 なんかもう最初に言ってた航時の条件なんてどうでもよくなってきました。 クリフたちは50年前に飛び、王を倒しますが、息絶える際に周りにいた仲間の先祖、 ならびに航時を発見した学者の先祖を殺されてしまいます。 するとクリフとエルミスを残し仲間が消え、歴史的に航時が発見されなくなったので竜も消えました。 もはや航時する方法も無く2人はこの時代に取り残されてしまいました ・・・まてよ 王が航時する ↓ ↓ 学者の先祖を殺す ↓ ↓ 学者が生まれず航時が発見されない ↓ ↓ 王は航時できず学者の先祖を殺せない クリフたちも航時出来ないので過去にいけない。 つまり 『学者の先祖を殺したら学者の先祖を殺せない』 『過去に行ったら過去に行けなくなった』 というタイムパラドックスの基本中の基本に陥っています。 ほんとにもうエクシング社員はこのストーリー作ったときに疑問に思わなかったのでしょうか? 残された2人は 「王が航時をして歴史を帰る前に戻って王を暗殺しなくては平和な歴史がやってこない」 ということに気づくのですが、航時竜のいない今、もう航時する手段がありません。 すると『時の女神』が再び現われ 時の女神「よくそれに気づきましたね。では特別にその時代に航時させてあげましょう」 分かってたのなら最初からそうしてくれよ。 とにかく時の女神によってその時代に航時する事ができましたが、 その時代についた2人、なぜか航時竜に乗っています。 これも時の女神の力なんでしょうか?あはは呆れるしかないね。 この時代で、こっちが2人しかいない事をいいことに即死攻撃ばかりしてくるという王と戦います。 んで、これを倒したら元の時代に戻り、ハッピーエンディングを迎えられるわけですが・・・。 歴史が変わり、最初主人公のいたウェルス養竜場は襲撃されずに済んでいました。 ところがなぜか最初の仲間達が竜騎士になっています。 そもそも竜騎士になった理由は『養竜場が滅ぼされた事の復讐をするため』だったはずでは? ・・・こうしてオープニングからエンディングまで逐一矛盾し続けたストーリー。 私の中ではワーストストーリーに輝きました。 そして最後に、このゲームをプレイしてみて中盤あたりからあった疑問を書いて ミスティックドラグーンレビューを終わりにしたいと思います。 ・・・ 「王は過去に航時して歴史を捻じ曲げた。 でもよく考えれば、ひどくなった世界を元に戻すために過去に戻ってその原因を断つという主人公の行動は 結局王と何も変わらないんじゃないか?」 |